猫の絵の魅力
猫の絵を描く時気をつけていること
私はよく猫の絵を描くが、描くときに気をつけている事がある。
それは猫というものは自然界に直接つながっている動物だという事を自覚した上で描くということだ。
どういうことかと言うと、絶対に人間の立場を高みに置いて上から目線で描いてはいけないということだ。
同じ自然界に生きるものとして、同じ目線で、同じ立場で、心を静かにして描くことが何よりも大切だと思う。
その気持ちなしに描いた絵は経験上、ろくなものにはならない。
勿論、それは猫以外のどんな動物にも言えることだ。ただ、人には縁というものがあり、それは人間と動物の間にも当てはまると思う。
私の場合自分に縁ある動物のひとつに猫がいるというだけのことである。
猫との縁、動物との縁
縁というと、自然発生的な偶然の産物のようにとらえる向きもあるかもしれないが、決してそうではない。
たとえば自分がしばしば目にする動物、しかも好感をもって感じられる動物、虫、花、木々、それらの存在と自分とは魂でつながっていると思う。
縁があるからこそ彼ら愛しき存在たちは私に近づいてきて、縁があるからこそその美しい蝶々は私の体にまとわりつくのだ。
猫もまさにそうである。
私は道端で出会う猫たちの行動や体から出ている雰囲気、その自由さ、屈託のなさ、逞しさ、正直さ、優しさなどに学ばされている。
縁(えにし)を生かして絵を描く
絵は人間の創造行為だが、この絵のなかにいかに縁ある猫たちの美しさや自由さ、峻厳さや優しさを表現できるか、
さらにそこに私個人としてのオリジナルな人間的な情感や経験、想い出などを不自然さなく織りまぜてゆけるかが大事だ。
それこそが私が猫の絵を描くときに追求している事である。
人間と猫という風に切り離してとらえるのではなく
あくまでも同一対等な同じ生きものとしての視点から離れることなく。
それさえ出来ていれば私の絵の目的は達成されているのだ。