静天凪の絵と造形 静天凪はアニミズムアートに基づいて、ポリネシアンアートやネイティブアメリカンアートにもつながる祈りや生命賛歌を表現します。レムリアの魂にむけてメッセージ性ある作品を描いております。

屛風の魅力と鑑賞方法

素材としての屛風には魅力がある

 

絵の素材(ここでは基底材)には様々な種類がある。 たとえば布地のキャンバス。描画用の紙。板。石膏。等々。

私の認識では屛風もその一つである。

 

 

屛風は通常、複数の〝面〟によって構成されている。ジグザグに折ってあるので扇のように開かれる形になる。

だからだろうか、ひとつひとつの面は「扇(せん)」と呼ばれる。

古来、屛風は主に生活の中で風よけとして使われていた。あるいは生活空間の中に仕切りを設けることにより、

各空間に個性を生み出し、日常のなかの多様性を個別に区切っていたのかもしれない

そのような屛風がなぜ絵の素材(基底材)なのか?

屛風には絵の素材となるだけの魅力があるのである。そして屛風には他の素材にはない独特の鑑賞方法があるのである。

以下、順を追って説明してゆきたい。

 

現代の屛風の役割と魅力

 

扇風機があり、クーラーがある現代社会では、風や暑さ寒さへの対策としての屛風の需要はない。

また、現代建築の中での間取りとしての屛風の役割もどうしても限られてくる。

では現代での屛風の役割は?

やはり美術であると私は思う。

立てかけて鑑賞するという性質上、立体的な角度も加味しながら魅せること。作品が立体的であるということは、角度や光の当たり方次第で観る者の印象も大きく変わり得る。そこに面白味が生まれる。

 

 

これが屛風の特性を生かしたあり方だ。

そしてそれは必ずしも昔からの屛風のように大きくなくてもよい。

美術という観点から言うならば大きさは自由であるべきである。

従来の壁に飾る絵画に様々な大きさがあるように。むしろコンパクトに収納できるミニサイズの屛風の方が需要があるのではないだろうか。

 

屛風の魅力をいかに引き出すかが画家の腕の見せ所

 

屛風に描いた絵を鑑賞する時、立てかける屛風をどの程度開くか、大きく全体を見せるのか、それとも僅かに開き、印象を変えるのか。

屛風絵は完成した後でもこのように開き方によって印象を変えていける。

また、屛風絵を置く場所や空間によってもその表情は変化する。

光の当たる角度、右から見る時、左から見る時。印象は次々と変化する。

これらすべてをふまえて、画家は屛風絵を描くのだ。

まさに屛風という支持体を使ってどれだけそこにある様々な可能性を引き出すかが画家の腕の見せ所と言えるだろう。

鑑賞する側も、そのような視点で観ると面白いと思う。

 

だからこそ改めてここに言おう。屛風は面白い。

 

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