アイリッシュウイスキーについて
手づくりの感覚
人の手が加わっている感覚が
アイリッシュウイスキーにはある。
ただし、現代都市社会の慌ただしい病的な人間の手ではなく
古き良き時代の蒸留所の時代から連綿と続いている人間の営みの手だ。
生まれながらの地元に根ざし、国土を愛している人間の手だ。
私は〝手づくり〟をする手から聴こえてくる、静かで平和な声に価値を置く。
日常の手づくりなもの
アート分野であるが私自身も〝手づくり〟をしていることもあり、日常の手づくりなものに対して敏感に感じる。
飲み物食べ物にも手づくりなエキスを感じ、
アイリッシュウイスキーには牧歌的なエキスを感じる。
そう。エキスだ。
ウイスキーや食品は大量生産されているが
たとえばおにぎりを握るというような手づくりな行為がその大量生産の中にエキスとして存在しているのだ。
手づくりなエキスの正体
その正体は何か?
それは人間の純粋なあたたかみだ。
言葉にすればとてもシンプルなものだが
おおげさではなく、私はこのあたたかみこそが
アイリッシュウイスキーの味わいの秘密だとおもう。
アイリッシュウイスキーに限らずすべての手づくりなもの、手づくり的なものの存在価値は
ここのところの濃度による。
ブッシュミルズブラック(アイリッシュウイスキーの銘柄)をのみながら
そんな感慨に浸る。