いのちある絵
いのちが宿っている絵は、理屈ではなく、みればすぐにわかります。
その絵と私に縁(えにし)さえあれば。
ではいのちが宿っている、そのいのちってどの様なものなのでしょうか?
心霊番組などで肖像画の目が動いたとかいう、あの種の怖いもの?
違います。わたしの言ういのちとは、私が〝うつくしい〟と心から感じたあるものの種です。
その種は絵という形になり
観るひとの心に撒かれます。
その中で縁ある人の心にいくぶんかのインスピレーションや喜び、人生上の救いをもたらし、
つまり気に入ってもらい、その人の心に芽を出すのです。
やがて花が咲き実をつけ、またその人の種子となり
その人にしかない世界の中でタンポポのわたぼうしのように、やがて穏やかな風とともに様々な世界に飛んでゆくのです。
わたしの言ういのちとはそういうものです。
今までいくつも私はそういう絵に出会ってきました。
私オリジナルな縁にもとづいて。
私が出会ったそれらのいのちある絵は、私の世界の中でタンポポのわたぼうしとなり
私自身の描く絵としていのちを宿し、
縁によってインスピレーションを感じた人の心の中に飛んでゆくのです。
そのような絵であるように
そのようないのちのある絵であるように私は願い祈りつつ
絵を描いています。